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ヒョウモンダコの咬毒について
 
1998年11月 6日、日本中毒情報センター
 大阪湾で毒をもつヒョウモンダコが生息していることが、確認されました。

(平成10年11月6日付け 朝日新聞朝刊)

 ヒョウモンダコは体長10cm程度の小型の美しいタコで、熱帯、亜熱帯のサンゴ礁の海に広く分布しています。

 通常は、褐色の帯状の模様を持っていますが、興奮すると青く光る斑紋が浮きでるため、その美しさに引かれて手をだし、かまれることがある。

 過去にはオーストラリアやニュージーランドでの死亡例が報告されているが、最近の記録では事故件数も少なく、死亡もまれであると記載されている。

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ヒョウモンダコ

      学名:Hapalochlaena maculosa





[毒成分と作用]

 主な毒成分はテトロドトキシンで、神経毒である。
(過去にはマクロトキシン(Maculotoxin)と呼ばれたこともある)


 神経筋遮断作用により、呼吸麻痺によって死亡する。

 後部唾液腺には、ヒスタミンやセロトニンなども含有される。





[症状]

 かまれた痛みを感じない場合も少なくなく、出血などの傷と症状の発現で気付く場合もある。かまれても必ずしも毒が注入されるとは限らず、症状が発現しない場合もある。(5 mm以上深くかまれると、毒が注入される率が高くなる。)

 かまれると、数分後から唇、顔や首のしびれを感じ、めまい、言語障害や嚥下困難が生じる。

 目のかすみや散瞳など視力障害も報告されている。

 続いて急激に脱力感や嘔吐、呼吸困難が発現する。

 重症の場合には15分程度で呼吸麻痺が進行し、90分以内に呼吸麻痺により死亡する。(解剖所見で、胸膜うっ血が死因とされている。)

 24時間生存すれば、予後はよいと言われる。

 じんましんなどのアレルギー症状も報告されている。





[処置]

 応急手当:


青いリングのついたタコにかまれた場合、患者が水にいる場合にはすぐに引き上げる。

呼吸管理が必要なので、すぐに病院に運ぶ。

毒を絞りだし、流水であらうことは効果があるが、毒を吸引することは非常に危険なので、医師が看護婦がそばにいる場合に行う。

吐物を気管につめて窒息を起しやすいので注意。(救急隊や医師の指示に従う)

 治療:


かまれた場合には、症状がなくても6時間は入院させて観察する。
(現実には、病院搬入時にすでに症状が出ている場合がほとんどである。)

6時間経過観察後、症状の発現がない場合には、退院させてよい。

解毒剤、拮抗剤はない。

通常、患者は呼吸不全を来たしている場合が多いので、気管内挿管し、人工呼吸を行うなど、呼吸管理を十分に行う。呼吸循環管理が主である。





参考文献

  • Juerg Meiere, Julian White: Handbook of Toxicology of Animal Venoms and Poisons. Chapter 14: Clinical toxicology of blue ringed octopus bites. CRC Press Inc., p171-p175, 1995
  • 白井祥平・著: 有毒有害海中動物図鑑.軟体動物 p.324-325, 1984, マリン企画発行
 
 
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